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不動産売買の立会その5

2012年6月18日

なぜ抵当権移転が出来てしまったのでしょうか?

決済当日、当方が登記を申請する前(おそらく決済している最中)に誰かが申請したものだと推測されます。しかもその登記は「抵当権移転仮登記」だったのです。

仮登記であれば、設定時の登記済証がなくても登記できるのです。ですから手続き上は出来てしまうのです。

当時は現在のような登記原因証明情報といった制度もなく、わりと簡単にこのような登記も出来ていました。実体上の調査を法務局が行うわけでもないため、書類さえ整っていれば、あとは申請の順で矛盾がなければ通ってしまう・・・恐ろしいことです。

決済時、普通の取引ではこんなことはあり得るはずはなく、皆当事者は取引の安全を信じて、信頼関係に基づいて手続きを淡々と進めていくものです。

このケース、おそらく債権者の中の不満分子(配当の少なさに不満を持ったと思われます)がこのようないたずら(いやがらせ)をしたのだと思いました。

すぐに仲介業者に動いてもらって、このあり得ない登記を抹消するために尽力してもらい、書類を集めてこの仮登記を抹消しました。当事者たちは、しらばっくれていたそうです。

強引な取引をしないで、取引の安全のため、最終の決済時は信頼関係に基づいて淡々と手続きを進める・・・これは、日常の業務でも言えることではないか、と今振り返ってみて考えさせられる出来事でした。

 

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